4月29日(土)  セジェスタ、エリチェ




     セジェスタの遺跡。ギリシャ劇場近くの住居跡



    ギリシャ劇場。小さいけど状態はとても良いです



      唯一、劇場からの景色が映っている写真w



     劇場の周囲は、のどかな田園風景が広がる



          古代の道

朝06:37分のトラーパニ行きの電車に乗り、2時間ほどでセジェスタ到着。
駅のバールで、コルネットとオレンジジュースで朝飯。
普通のクロワッサンかと思って頼んだら、中はカスタードクリーム入りで美味v

バールで教えられた通り、駅を出て左の道へ。陸橋をくぐると視界が開け、神殿は見えないけど観光バスが沢山いるので、遺跡の場所は見当が付く。
駅を出てしばらくすると雨が降って来た。朝も探したけど結局傘が見つからなくて、時間もなかったので、ホテルを出て来てしまったのだけれど、本当に天気予報が当たるとは。
雨は更に土砂降りになり、道ばたの木の下に避難。どうしよう、もう帰っちゃおうかと思いながら途方に暮れていると、1台の車が目の前で止まった。遺跡へ行くのか?とのお姉さんの問いかけに、そうだと答えると、車に乗りなさいとお姉さん。
本気で泣きたい所で、天使に遭ったような気分でした。ありがたくお言葉に甘えて遺跡まで連れて行って貰う。

遺跡のバール兼土産物屋で雨が止むまで避難。雷もゴロゴロ鳴ってます。ツアーの団体客や、修学旅行のお子様軍団も皆建物の中か、外の屋根付きのテーブル席にたむろしているので、かなりの混雑。人混みの中でバッジを付けた、さっきのお姉さんを発見。地元の人かと思っていたら、遺跡の係員の人でした。

遺跡のチケットは土産物屋のレジで、ギリシャ劇場まで登るバスのチケットは隣のバールでと、ちょっと判りづらいシステム。
何とか雨も止み、ちょうど出発間際だったバスに乗り込んでギリシャ劇場へ。

劇場近くにあった古代の住居跡は、デロス島の遺跡を彷彿とさせます。
石の積み方が同じなんですよー。
ギリシャ劇場の保存状態も良く、ギリシャオタクの自分は萌えまくり。
シチリアのギリシャ劇場は、タオルミーナに代表されるように劇場から望む背景が見所の1つなのに、劇場そのものに萌えまくった自分は、観客席からの景色を1枚も写真に収めてませんでした。バカだ…orz。




         セジェスタの神殿



       神殿内部。雨の間をぬって撮影

再びバスに乗って、遺跡の入口へ。
ここで再び雨が降り出し、バールにまたもや避難。
雨が小降りになって来た所で丘の上の神殿に向かうものの、坂を登っている途中で土砂降りに。
神殿に駆け込み、梁の下で雨やどり。ツアー客達は傘やレインコート装備だったけど、大雨の為にみんな梁の下に避難。それでも雨の間をぬうようにして写真撮影。この神殿が一番のお目当てだったのに、先に見ておけば良かったなぁと、ちょっと悲しい。

雨が一時的に止んで、いまのうちにと駅に向かう。
ところが途中で雨が降って来たかと思うと、今までにないような激しい土砂降り。
もう駅は近いのに…と木の下に避難しながらの移動。
通りがかった車(道路工事?のような制服着てたけど、仕事に向かう所らしい)の兄さん達に再び拾われ、無事に駅へ。
シチリアーノの親切が身にしみました。

駅についてしばらくすると、雨が止んで太陽が顔を出す。
上にジャケットを羽織っていたおかげで、ズボンはともかくとして、上半身は雨の大部分をジャケットが吸ってくれたので、時間をおけば乾くだろう。

間もなくしてやって来たトラーパニ行きの電車は新型車両。ドアはボタンで開閉するのを知らなくて(朝一番のは古い型だった)、降りる人がいなかったらドアを開ける事も出来なくて、乗りそびれていたかも。
更に11:24発の筈の電車は2分程早く出発。遅れるのもありなら、これもイタリアでは普通のようです(笑)。
  




      ジューデッカ館

電車は20分程でトラーパニに到着。
トラーパニのお天気は晴れ。日に照りつけられた背中が焦げそうな程で、セジェスタの大雨が嘘のよう。
12:30までトラーパニの街で時間をつぶし、カンティーナ・シチリアーナでお昼。
トラーパニの郷土料理、ブッシャータ・コン・ペスト・トラパネーゼ(トラーパニ独特のネジネジパスタに、トマトとアーモンドとにんにく入りのソース)が食べたかったけどメニューになくて(HPにはレシピが載ってるのにな〜)、これもトラーパニ名物のクスクスをお願いする。
クスクスおいしかったですよ〜。前菜のタコサラダも日本人には嬉しい。
お腹がいっぱいでクスクスは完食出来なかったけど、大満足のランチでした。

写真はカンティーナ・シチリア向かいの、ジューデッカ館。
トゲトゲの装飾のある塔の写真がガイドブックにも載ってますが、塔は修復中で覆いが掛かってました。
ジューデッカってダンテの「神曲」から由来?何故に?と思っていたら、かつてこの界隈はユダヤ人街だったので名付けられたとの事らしい。




       公道レースのスタート直後


          トラーパニ門

エリチェ行きのバスの時間は過ぎていたので(多分間に合わないだろうと思っていたし)、駅前からタクシーでトラーパニとエリチェを結ぶロープウェーに移動。
「Funivia statione per favore」で問題なく通じました。
ドライバーのおじいさんから、帰りはこの番号に電話してくれと貰った名刺が後でとんでもなく役に立つとは、この時はつゆ程も思っていませんでした。

エリチェは山の上にある街。先住民族のシカニ族が豊穣の女神を祭り、カルタゴ人はアスタルテを、ギリシャ人はアフロディーテ、ローマ人はヴィーナスをと、支配者が変わっても豊穣の女神を信仰し続けて来た聖地。船人が神殿の篝火を頼りに航海をした事から、豊穣の女神達は航海の守り神ともされたという、まさに神話の生まれた地です。ちょっとギリシャのコリントスっぽいとも思ったり。
人々の女神信仰をどうしても止めさせられなくて、対抗する為に1341年に聖母マリアを祭るマトリーチェ教会が建立されたとの事なので、ローマ帝国でキリスト教が公認されて尚、千年もエリチェで女神信仰が続いた事になります。
かつてシチリアを支配していたイスラーム人は宗教については寛容な政策を取ったそうですが、中世のキリスト教世界でそれだけ女神信仰が続いて来たのは凄いですよ。
ギリシャオタクの血が騒がずにいられましょうか。


ロープウェーで上に登るにつれて、どんどん霧が濃くなって来て、前後のゴンドラも全然見えない程の白一色の世界に。晴れた日にはエリチェから、遠くチュニジアまで見えるとの事ですが、大雨の後だし景色はきっぱりあきらめ、行く手も全く見えない深い霧に「わーいミステリーツアーみたい」とこの状況を楽しむ事にする。

ロープウェーを降りると、エリチェの街では山岳公道レースの真っ最中!
クラシックな車が、次々と目の前を通り過ぎて行く。真っ赤なフェラーリももちろんいました。
街の入口の広場から断崖沿いの道を行くと、ノルマン城(ヴィーナス神殿跡)に出られる筈なんだけど、広場一帯はレースの為に占領されていたので、一端トラーパニ門から街の中に入って、迂回する事を余儀なくされてしまう。




        エリチェのお菓子屋さん



      石畳が独特のエリチェの街
メインストリートのヴィットリオ・エマヌエレ通りのお菓子屋さん。
試食させてもらったけど、試食の1切れだけでお腹いっぱいになるような、激しい甘さ。一度で懲りてシチリアドルチェをあまり食べなかったけど、もったいなかったかも。

ウインドウに招き猫が飾られてますが、シチリアの何カ所かで見かけました。
レジ脇にさりげなく置かれたりして、ちゃんと正しい使い方をされている模様。
どこから手に入れたのか、そして欧米人が招き猫を見て何だと思うのかは謎です。



           ペポリ城

迷路のようなエリチェの街を抜けて、ようやくお目当てのノルマン城にたどり着いたと思ったのですが、実はここはノルマン城ではなくて、ペポリ城という事が帰国後発覚(滝汗)。

あまりに濃い霧と、正三角形の形をしたエリチェのちょうど頂点の位置に在る為に、錯覚してしまったのですねー。
街の入口から真っ直ぐにノルマン城に向かう事が出来ていれば、多分間違う事もなかったと思うのですが…。いつか機会があれば、セジェスタ遺跡と共にリベンジを果たしたいです。




           ペポリ城



       バリオ公園から見下ろした下界

城の全景がカメラに収まる位置まで離れると、既にこんな感じ。
この先にもう1つお城があるなんて、誰も思いませんよー。

















ここからトラーパニの街と地中海、マグロ漁で有名なエガディ諸島、更には遠くチュニジアまで見渡せるそうなのですが…。あまりに全部真っ白なので笑えてしまう。
この1つ下の段に、ノルマン城へと続く道があるみたいなのですが(シチリアの写真集で2つのお城の全景を見たので)、それも見えません。




           城壁跡

エリチェの西側にある紀元前8〜6世紀の城壁跡。

帰りはバスでと思っていたけど、公道レース中にバスがエリチェまで登って来られる筈もなく。仕方なく再びロープウェーでトラーパニまで降りて、タクシーのおじいさんに電話をする事に。到着までの間にイタリア語会話集をひっくり返して、必死でそれらしい言葉を探しましたよー。
幸いな事に、ロープウェー駅の電話は硬貨とテレカルタの併用式。駅の周りにはテレカルタを売っていそうなバールもタバッキも見あたらなかったので、助かりました。無事電話が通じて、迎えに来て貰える事に。

トラーパニの街はやっぱり良いお天気。ロープウェーで下に降りて来る時、雲間から明るい日差しが降り注いでる街を見て思ったけど、昨夜の天気予報で見た通りトラーパニはシチリアの中でも特殊な気候の模様。晴れが多いから塩田が沢山作られたんですね。

タクシーで駅に到着し、ちょうど良い電車がなかったので、バスでパレルモに帰る事に。バスターミナルには、レースの為にエリチェ行きのバスは運休の旨が張り出されていました。自分の使ったタクシー+ロープウェーが、この日唯一エリチェへ辿り着ける手段だった事を今更ながらに知る。

1人旅といえど、いろいろな人の親切で旅が続けられるのだなーと、しみじみ思った1日でした。




・セジェスタへは、パレルモからトラーパニ行きの列車に乗ってSegesta Tempio駅下車。駅前の道を左へ。
・イタリア国鉄へのリンクはこちらから。
・セジェスタ遺跡の入場料6ユーロ。ギリシャ劇場にバスで往復する場合は、別途1.2ユーロ。
・トラーパニ〜パレルモのプルマンは、Interbus社が運行。トラーパニ〜エリチェ間はAST社
 バールのある建物を挟んだ右と左(というか表と裏?)に乗り場があります。チケットはバスターミナルにあるバールで買えました。
・トラーパニ〜エリチェのロープウェー(フニヴィア)は、往復3.7ユーロ。行き方は駅前からタクシーか、市バスで。帰りもロープウェーを使うなら、タクシーの運転手から名刺を貰っておくか、バスのチケットを往復で買っておいた方が良いです。近くにはタバッキもバールもありません。タクシー代は行きは10ユーロ、帰りは呼び出し料金がかかって12ユーロでした。