軍資金も手に入れ、今からアテネ市内に向かうのだが、折角なので物は試しと7月に出来たばかりの地下鉄でアテネ市内に行こうと思い立つ。 しかし駅はどこ〜? インフォメで場所を聞き、あちこちうろうろしつつもエスカレーターを上って出発階に行き、そこから空港前の道路向かい側、硝子張りの連絡通路を渡って到着した所が駅だった。ちょうど空いていた切符売り場の窓口には、見るからに不機嫌そうなお姉さんが座っていて、それはもう思いっっっ切り、切符とおつりを放り投げて寄越して下さいました。何〜〜〜〜!! あまりのお姉さんの態度に驚き…いやかなり凹んで、とぼとぼとホームに向かう。 しかも切符が8ユーロもした。バスならば2.9ユーロで、空港〜市内の交通(片道のみ)に加えて、市内バスと地下鉄が24時間乗り放題なのに、良く見るとこの切符は市内までの交通にしか使えないと書いてある。こんなもん、2度と乗るもんかぁぁ〜と、かたく心に誓う。 ここからモナスティラキ行きの電車に乗るのだが、丁度電車は出発した後。この時間帯は、毎0分と30分に出ている模様。両替と駅に辿り着くのに時間を取られたので、現在8時ちょっと過ぎ。他に客が来る気配もまったくなく、無人の車内でぽつんと1人、やっぱりバスにするんだったと、凹みモード全開でひたすら出発を待つ。出発10分ぐらい前になって、ようやく数人、客がパラパラとやって来た。 電車はようやく動きだし、まぶしい朝日の中アテネ市内へとひた走る。検札係が数人現れて、切符のチェックを始める。車内はガラガラで、すぐに係員の1人がこちらへやって来た。切符を見せて、あっさり検札終了。 それにしても次の駅までが、とてもとても長い。かなりの時間が経った頃、やっと隣駅に到着。なるほど、空港までの長い路線を新しく作って、しかも利用者は旅行客に限られるから(近辺に住んでる人もいなさそうだった)、こんなに高いのね。更に電車は延々と走って、地下鉄ライン3の路線に入ると乗客が次々と乗り込んで来てちょっとしたラッシュ状態に。 シンタグマ駅でライン2に乗換。次のパネピスティミウ駅で降りれば、宿泊予定のホテルがある。人の後にくっついて、流れのままにホームへ。電車が来て早速乗ろうとして、ハッと気が付いた。この電車、どっち方面行きだ?!(爆) 睡眠不足と時差ボケで、オモニア方面行きに乗ればいいとしか頭になかった自分。慌てて路線図を確認するが、地図の上方向(オモニア方面)はAGHIOS ANTONIOS、下方向がAGHIOS DIMITRIOS。ぼけぼけ状態の脳には大変インプットしづらい。電車の表示を見るとAGHIOS ANTONIOS行き。やっぱこのまま乗っていいのか、と足を踏み出した時、目の前で無情に扉が閉まった…と思ったらまた開いた。一瞬躊躇するが、ギリシャ人の紳士が私の行動を見ていて、今のうちにおいでおいで、と合図を送っている。ええい、と飛び乗ろうとしたら、今度こそ本当に閉まってしまった(苦笑) 次の電車でパネピスティミウ駅に行き、わずか1ブロックでエスペリアパレス・ホテルに到着。チェックインは14時からとの事で、荷物を預け、地下のレストルームで顔を洗って、日焼け止めを塗りまくってから、早速市内観光へ出かける事にする。旅行会社に24日のホテル代の支払いにも行かねばならない。 駅がとても近くて便利なので、地下鉄でシンタグマ広場へ移動。歩いてもたいした距離じゃないけど、今日は観光で歩きまくるので少しでも楽をしておきたい。 7日間バス・地下鉄乗り放題のウィークリーチケット、10ユーロを購入。これは本当に便利でした。1日乗り放題の2.9ユーロのチケットもあるけど、市内の交通をほとんど使わない日だって、その都度チケット買わずに済むし。地下鉄が便利で乗りまくっていたので、多分元は取れていると思います。(ライン1は0.6ユーロ、ライン2、3は0.7ユーロ) 日本のギリシャ政府観光局で貰っておいた地図を頼りに、ホテル代を払いに旅行会社マリソルへ。アテネ市内は交差点ごとに、角の建物にストリート名と番地が書かれているので、とても分かり易い。さくさく歩いてマリソルに到着。アクロポリス周辺の徒歩観光コースを聞いたので、その通りに歩いてアクロポリスに向かう事にする。マリソルのあるヴリス通りから、タベルナ(レストラン)がびっしりと立ち並ぶキダシネオン通りを抜けると、目の前にアクロポリスが、どーんと聳え立っている! わーい♪と写真を撮りつつ(この時点で既に教えられた道を外れている)アクロポリス入口に向かうが、うっかりプラカ・古代アゴラ方面の道に来てしまった。確かアクロポリスから古代アゴラに行く時に急な坂道を降りて行った記憶がある。そうすると、こちらからアクロポリスに行く時は、キツイ上り坂になるのでは…(汗) (ヘロド・アティクス音楽堂方面経由の方が、道はずっと緩やかです) しかし戻るのも面倒なので、そのままずんずん進む。途中アクロポリスの丘の麓に密集して建っている白い小さな家の間の、獣道のような狭い通路を上へ上へと登り(島にあるような家々みたいで雰囲気は素敵なのだが、住んでる人は大変そう)、どうにかアクロポリスに辿り着いた。 |
![]() ヘロド・アティクス音楽堂 |
![]() プロピレイア北翼 |
チケット12ユーロ(近隣の遺跡の入場券5枚付)を買い、更に近くの売店で水のボトルを買う。店員のおじさんは歌うように英独仏伊語ちゃんぽんで、ジュースのあやしい売り込みをしている。日本人がカウンター前に行くと、もちろんあやしい日本語で「オイシイ、オイシイね〜♪」とジュースを勧めてくれます(笑)。一番安いミネラルウォーター0.5ユーロを買うと、おじさんはとても残念そうだった。 ゲートをくぐり、まずはアクロポリスの麓にあるヘロド・アティクス音楽堂を上から見学。今日は音楽堂で、アテネ・フェスティバルでウィーンフィルのコンサートが開催されます。しかし上演開始は夜8時半、日本時間だと午前2時半から。日本出発前は行く気満々だったけど、到着したばかりのへろへろ状態では、流石に無理がありまくりなので、泣く泣く諦める。 ![]() 中央付近にはケンタウロスっぽいのもいるし、左端のは何かの動物の上に人が乗っている。アリエスの神話の場面だろうか? しかしパルテノン神殿のメトープがゾディアックだなんて聞いた事ないし、第一壁面の数は全部で14ある。しかしあれはどう見てもピスケスにしか見えない。ふふふ〜vと妄想モード突入(笑) (後で別の角度からよ〜く見てみたら、どうやらピスケスマークではない模様。残念無念) 神殿を見て回って、アクロポリス博物館へ。彫刻などを見学した後でガイドブックや絵ハガキを買い込み、展望台へ。風がかなり強いけど、アテネ市街の様子が一望に見渡せてとても気持ちがいい。 ぼ〜っと風景と神殿を堪能した後は、エレクティオン神殿を1周する。アテナがポセイドンと争った際に、植えたオリーブの木を模して植えられたというオリーブの木は、今も健在…というか、何か木の数が1本から数本に増えているのは気のせい?(^^; |
![]() エレクティオン神殿のカリアデッド |
![]() アテナが植えた聖なるオリーブの木 |
アクロポリスを後にして、近くにあるアレオスパゴスの丘へ。上に登る前に、デジカメの設定を変えようといろいろやっていると、何かカメラがトラブったのか?と外人のおじいさんが声を掛けて来た。「いや〜、デジカメの設定をいじっていただけなんです〜」と答えたいのだが、アトリビュートの単語がとっさに頭に浮かばない(恥)。「ううん、ノープロブレム」とだけ返事をすると、ここに登るともっと良い写真が撮れるよ、とおじいさんに丘の上に連れて行かれる。実はちょうどそうしようと思っていた所だったし。![]() 「島へは行くのか?」と訊ねられ、ミコノスへ行くと答えるとおじいさんは「OH…」と顔をしかめる。言いたい事は良く判る。同じ観光地と化した島でも、風景だったらサントリーニ島とかの方が全然綺麗だし、他の島だってミコノスより良い所は沢山ある。(風景見るならザキュントス島とか、奇岩の海岸が続くというミロス島行きたかった)。でも私の本当の目的はミコノスではなく、デロス島に行きたいのだ。ミコノスからしかアクセス出来ないので、仕方ない(^^; そこでおじいさんの意を汲んで、「10年ぐらい前にサントリーニに行った事があるけど、とても綺麗な島だった」と言うと、「10年前なら、君はベイビーじゃあないか?」と。日本人が若く見えるって本当なんだな。歳を聞かれて「ヒ・ミ・ツ」とにっこり笑顔で答えると、おじいさんは苦笑してそれ以上の追求を止めた(笑) おじいさんと別れ、坂を下って今度は古代アゴラへ。 日本人率高し。アクロポリスに比べて観光客が全然少ないのに、なぜかここで3組の日本人集団に次々と出会う。しかも全員が同じ方向、ヘパイストス神殿へ向かっている。黄色い声のお姉ちゃん集団が何となく嫌で、さくさく歩いて逃げ出すが、結局目的地のヘパイストス神殿で右も左も日本人てんこ盛り状態。…私ゃギリシャくんだりまで来て、こんな所でグッジョブをリアルで聞くとは思わなかったですよ、はい(所詮、目くそ鼻くそだが)。 古代アゴラを出て、モナスティラキ広場方面へ。ここも通り沿いにタベルナが並んでいる。あ、レストラン・アイオロスがある。そろそろお昼にしたいけど、胃の調子が悪いのでどうしよう…と考えているうちに、モナスティラキ広場についてしまった。 広場に面したギロ屋さんを見つけ、テイクアウトする。ギロというのは、大きな肉の塊を焼いてからそぎ落とした物を、野菜と一緒にピタパンで包んだ物。広場の隅に腰掛けて、おいしく頂きました。 |
14時を余裕で過ぎていたので、地下鉄でホテルに戻りチェックイン。朝にお願いしていた、コリントス半日観光バスツアーの予約も入れて貰う。 ベルボーイのお兄さんに部屋に案内されると、中は思っていたより広くて綺麗。…でも良く見ると、ゴミ箱には前の客のゴミがそのまま残っている。整えられてはいるが、ベッドメイクもされていない。?と思っている間に、お兄さんは即刻どこかへ電話している。何か手違いがあったらしい。お兄さんに連れられ、再びフロントへ。 チェックイン手続きをしてくれたフロントのおじさんが一生懸命謝ってくれて、すぐに掃除をするからレストランでお茶でもして待っていてくれとの事。盛んにこちらのミステイクだから、と言っていたので、もしかしたらお茶代はホテルの奢りだったのかも知れないが、早口の英語なので良く判らない。まぁいいか、とロビーで掃除が終わるのをぼーっと待つ。 いつの間にかおじさんはフロントから消えていて、相方?のエルロンド様…というよりスミスみたいなおじさんが、誰かを待っているのか?と聞いて来るので、事情を話すと電話で確認してくれる。もう掃除は終わっているみたいだ。荷物を持ってエレベーターに乗ると、ちょうど仕事を終えて帰る所だったフロントのおじさんに会う。おじさんに挨拶して、今度こそお部屋へ。簡単に荷ほどきして休憩した後、再び観光へ(←貧乏性)。 地下鉄でアクロポリ駅まで行って、駅からすぐ側の、アクロポリス麓にあるディオニュッソス劇場へ。音楽堂の方は、本当にコンサートホールという雰囲気だったが、こちらは星矢に出て来る闘技場みたい。最前列には、立派な背もたれのついた貴賓席も並んでいる(←これがポイント)。ふふふ、萌え〜v 観客席を上へ上へと登って行き、そのまま道なりに進んでアクスピレウスの聖域を通り(ここは修復途中で、遺跡のパーツが並べられたまま放置されてました)、ヘロデ・アティクス音楽堂へ行くつもりが、アクロポリス入口〜プロピレイアの上り坂の途中にある監視所みたいな所に出てしまった。 監視所の向こう側のエリアは、本当ならアクロポリスのチケットがないと入れない場所。恐る恐る、アクロポリスの外に行きたいんだけど、と訊ねるとすんなり通してくれました。 |
暑かったので、さっきのアクロポリス前の売店でフローズンストロベリーを購入。観光地値段で4.5ユーロ。高っ! あ、さっきは気が付かなかったけど、フレッシュレモンジュースもおいしそう。 売店を後にして、今度はアクロポリス近くにあるフィロパポスの丘へ。ここからはアクロポリスの全景が見渡せるのだが、上り坂が結構キツくてへろへろになりながらようやく山頂?へ。 景色を堪能した後、丘の麓にあるディオニュッソスというレストランのカフェで、再び休憩。ここはパルテノン神殿を見上げる絶好の位置にあるので、人気のお店との事。夕暮れにはまだ少し間がある時間帯だったので、運良くカフェのテラス端の席を確保。さっきおいしそうだったフレッシュレモンジュースを頼んでみる。100%レモン果汁に砂糖をたっぷり入れると、疲れた身体に、く〜〜vという感じで、とても美味しい。 少しづつ夕焼けに染まって行くパルテノン神殿をぼんやり眺めているうちに、更に疲労がどっと押し寄せて来た。時刻は午後7時前、日本時間だと午前1時だから当たり前か。プラカの辺りで夕飯にしようと思っていたけど、お店を探すのも面倒なので、ここでごはんにする事に。カフェなので軽食しかないけど、胃の調子も良くないしちょうどいいや。ホットサンドイッチを追加注文。 更に日が傾き、パルテノン神殿がほんのりと朱色に染まって行く。やがて音楽堂の方から、時折トランペットの音がぼぇ〜と流れて来た。ウィーンフィルがアテネフェスティバルのリハーサルをやっているらしい。 コンサートは(体力的に)行けそうにないけど、リハーサルだけでも聞けたらいいな…と思い、音にひかれるままにふらふらと音楽堂へ。音楽堂の前には既にいっぱい人が集まっていて、自分もその中に混じってその辺に座り込む。ここまで来ると、リハーサルの音が完全ではないけれども良く聞こえる。流石はウィーンフィル、音が全然違います。リズムがすっごく軽やかで、まるで音符に羽根が生えてくるくると優雅にダンスを踊っているよう。本当にリハーサルの間、ぼ〜っと聞き惚れてました。 今夜の演目はベートーベンの英雄。かつてエロイカ伯爵のファンだった自分としては、おいしい曲(笑)。実は日本でアテネフェスティバルのチケット売り場の場所も、販売時間も値段も全てチェックしてました。ギリシャの古代劇場でウィーンフィルを聴けるなんて、この機会を逃したらもう2度とない、というのは判っている。チケットだって目の前で、まだまだ絶賛販売中だ。…でも、もう体力はとうに限界を超えている。8時半の開演までならともかく、終演までいるのは無理っぽい。 例えて言うなら、イベント前夜に深夜遅くまでコピー誌かチラシ作りをして、数時間仮眠を取って夏コミ第1日目に出掛け、更にアテネオリンピックの開会式をライブ中継で通しで見るようなもの(^^; 今日がギリシャ到着当日でなければ…いやあと10歳若かったら…! でも今の状態では、どう考えても本当に無理。リハーサルも終わった所で、ホテルに戻る事に。 音楽堂の前で座り込んでいる間に、すっかり陽も落ちて、少しづつライトアップされて行くパルテノン神殿をすぐ間近で見る事が出来たのは、ちょっとラッキーでした。 ドレスアップしたギリシャ人が大勢音楽堂へと向かう中、1人逆方向の駅に向かってとぼとぼと歩いて行く。まるで舞踏会に行けないシンデレラの気分。 地下鉄でホテルに帰り着き、お風呂に入って荷物を広げていたら、あっという間に2〜3時間が過ぎていた。今日はもうおやすみなさい。 |